未来球技ブラジル2〜苦労人の攻撃〜
未来球技ブラジル2〜苦労人の攻撃〜



千石 「夏だ!」

東  「そうだな」

千石 「海だ!」

太助 「そうですね」

千石 「諸君、楽しむ準備は出来ているかね?」

甚八 「まあ、ボチボチです」

千石 「結構! それでは、夏の海を満喫しようじゃないか!」


太助 「(やる気なさげに)お〜」
甚八

千石 「君たち、何でそんなにテンションが低いのかね?」

東  「オマエがハリキると、ロクな事にならんからだ」

千石 「ずいぶんと失礼な言い草だね」

東  「去年の温泉旅行の件、忘れたとは言わせんぞ」

千石 「忘れちゃいないよ。だから、今年は君たちの意見を尊重して、海に来たんじゃないか。
    でも、旅行先にロボットが現れたのも、旅館が木っ端微塵になったのも、別に僕のせいではないんだけどな」

太助 「封印のオフダを剥がしたのが、千石さんじゃなければ、その通りなんですけどね」

千石 「……その件については、確かに軽挙妄動だった事は認めよう。でも、もう済んだ話だし、いいじゃないか。
    あんな事は確立的にも二度と起こらないだろうし、そう考えれば、我々コナン大学漫画研究会としては、
    良い経験になったと思わないかね?」

甚八 「え? オレたちって大学の漫研だったんですか?」
千石 「甚八君、キミはボクたちが一体何の集まりだと思っていたのかね?」

甚八 「いや、ただの仲良し4人組かなぁ、と……。ホラ、前作では特に素性が語られたワケでもなかったし」

千石 「設定の不備をツッコむのは大人げないぞ、甚八君! ともかく! コナン大学漫画研究会・夏の強化合宿は始まったばかりだ。
    まずは今回の宿に向かい、水着に着替えて、楽しもう!」


太助 「(やっぱりやる気なさげに)お〜」
甚八




主人 「いらっしゃいませ。この度は『武羅路流2』をご利用いただき、誠にありが……ああっ! アンタらは!?」

千石 「これはご主人、1年ぶりですなぁ。旅館の名前からして、もしやとは思っていましたが、
    今度は海辺の旅館を経営されていたとは、奇遇ですなぁ」

主人 「ああ、何と言う事だ。事故で死んだ弟からこの旅館を引き継ぎ、最近になって、ようやく経営が波に乗ってきたというのに…………」

千石 「ご主人、確かに去年の事は災難でしたが、僕らだって行く先々で騒ぎを起こしているワケではないのです。
    アレは不幸な偶然だったのですよ。それに、そもそもの原因であったあの卓球台のような、
    いわくアリな代物はさすがに置いてないのでしょう? だったら安全ですよ」

主人 「いや、それは、その…………」

東  「あるのかよ!」

主人 「い、いえ! ありません! 断じてありません!」

千石 「そうやってムキになる所が怪しいですが、僕だってちゃんと反省はしています。前もって言っていただければ、
    アヤしげな物には近づきませんよ。それではご主人、部屋に案内していただきましょうか!」

主人 「は、はぁ。こ、こちらです。あの、くれぐれも……」

千石 「わかっていますとも! 何かあったとしても、勝手には触りませんよ」

太助 「何か、先行きがいきなり不安になってきたんですが……」

東  「奇遇だな、オレもだ……」

千石 「どうしたのかね、みんな。早く荷物を置いて、海へ繰り出そうじゃないか!」

甚八 「まあ、考えてたってはじまらないし、いっそ開き直って、楽しむが勝ちじゃね?」

太助 「……甚八っつぁん、だんだんと千石さんに似てきたよな」

甚八 「え、マジ……?(ちょっと嫌そう)」

千石 「諸君、海は待っててくれても、過ぎ去った時間は戻ってこないぞぉ、アッハッハ!」


千石 「ふぅ。海に来るのは久しぶりだが、良いもんだねぇ」

太助 「そうですねぇ。水着のオネーチャンたちも良い目の保養になりますしねぇ」

千石 「うんうん、まったくその通りだねぇ」

東  「オッサンか、オマエら。ほら、そんなギラギラした目で見てんじゃねぇよ。気持ちワルがられてるだろうが」

太助 「何言ってるんですか。男なら当然の反応でしょう。それとも東さんはやっぱり噂通りの人なんですか?」

東  「何だよ、その噂って?」

太助 「いや、東さんって結構モテるのに、浮いた話一つないんで、ブッチャケ、ホモ疑惑が……」

東  「カンベンしてくれよ……」

千石 「まあまあ、その辺にしといてあげたまえ。それよりも、面白い話を聞いたんだが」

甚八 「面白い話?」

千石 「うむ。キミたちは卓球(たくきゅう)上人の話を覚えているかね?」

甚八 「卓球(たくきゅう)上人って確か……」

太助 「卓球マッスィーンを封印したっていう坊さんでしたよね」

千石 「うむ。よく覚えていたね」

東  「忘れたくても、あんな強烈な経験、忘れられるか!」

千石 「宿を出る際、あそこの主人に聞いたんだが、どうやらこの近くに、卓球上人が建てた祠があるそうなんだ。
    ちょっと見に行ってみないかね?」

太助 「マジっすか? でも、それって何かヤバくないですか?」

千石 「大丈夫、大丈夫! 危険があるようなら最初から教えてくれないよ。でも、去年の事を経験してるにも関らず、
    僕に教えてくれたんだから、何も問題は無いよ、きっと」

東  「そのご主人の言葉には、『そこには近付くな』というニュアンスが含まれていたんじゃないのか? 去年の事があるだけに」

千石 「よしんばそうだとしても、見るだけなら問題はないだろう? まあ、いいじゃないか。さあさあ、着いてきたまえ」

東  「おいっ、千石! ったく……」

太助 「どうする、甚八っつぁん?」

甚八 「実の所、ちょっとだけ興味あるんだよなぁ」

太助 「じゃあ、オレらも行こうか。待ってくださいよ、二人とも!」



千石 「お、どうやらアレのようだね」

太助 「うわ、マジで何かありそうですね」

東  「何か注意書きみたいな事が書いてあるけど……擦れてて読めないな」

甚八 「あ、見てください! 祠の扉に、おフダみたいなのがありますよ」

千石 「ほう、どれどれ……。ん、このおフダちょっとおかしくないかね?」

東  「何がだ?」

千石 「ほら、よく見たまえ諸君。この祠がいつ頃出来たかはしらないけど、卓球上人が建てたのなら、少なくとも百五十年は経っているワケだろう?」

太助 「去年の旅館の歴史がそんなモンで、確か旅館が建って1年後に卓球マッスィーンが来たって話だったから……そうでしょうね」

千石 「にしては、このおフダ、結構新しくないかね?」

甚八 「言われてみれば……」

東  「千石、そもそもこの祠は何のために建てられたんだ?」

千石 「去年のアレと同じだよ。旅の高僧が海から現われた魔物を倒し、ここに封印したとか……」

東  「やっぱり、そういうイワク付きか……あのご主人も、最初から教えなけりゃいいんだけどなぁ」

甚八 「万が一、何も知らない状態でココに来て、おフダを剥がされたら敵わないからでは?」

千石 「だから、僕だって去年の事はちゃんと反省してるって。何でもかんでも剥がしはしな…………ヘックション!」

ビリビリビリ…

千石 「あ…………」

甚八 「え…………?」

東  「まさか……」

太助 「お、おフダが!」

東  「結局、剥がしてるじゃねぇか!」

千石 「ま、待ちたまえ、これは不可抗力だ! 不幸な偶然だよ!」

甚八 「そ、そんな事よりどうするんですか! 今回も卓球マッスィーンならともかく、マジモンの魔物なんて出てこられた日にゃ、大変な事になりますよ!」

千石 「待て、落ち着け、落ち着くんだ! 冷静に状況を分析してみよう!」

東  「そんな悠長な事……って、アレ?」

太助 「特に何も起きませんね?」

千石 「何だね、何も起こらないじゃないか。ふう、焦って損したよ」

甚八 「どうやら、ココは本当に迷信だったみたいですね」

千石 「そのようだね。おっと、そうこうしている内に、日が傾いてきたね。そろそろ宿に戻ろうじゃないか。
    一応、このおフダは元に戻しておこう……よし、まだ糊が利いてるようだ」

東  「たった半日ほどで、どっと疲れが出たみたいだよ……」

太助 「しかし、何でおフダは新しかったんですかね?」

東  「おそらく、一定の期間で新しいおフダに取り替えるんだろう。風雨に晒され、破れでもしたら問題だからな」

千石 「まあ、何事もなくてよかった、よかった」

東  「オマエが言うな!」

千石 「だから、アレは不可抗力だと言ってるじゃないか(フェイドアウト)」

???「(囁くように)ようやく……出られたぞ…………」


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