Flapper Girl!
Flapper Girl!


 エイジ達が格納庫を出ようとした頃、ミヅキと琉菜はテラスで紅茶を飲んでいたリィルに合流していた。
 しばらくは二人もお茶を飲みながら、女同士和気あいあいと話に華を咲かせていた。
 やがて頃合を見計らったようにミヅキが口を開く。
「あのさ、リィル……単刀直入に聞くけど、アナタもしかして、エイジの事好き?」
 ミヅキの言葉に、リィル本人ではなく、隣に座っていた琉菜が思わず紅茶を吹き出した。
「ちょ、ちょっと、ミヅキったら何言ってるのよ! そんな事あるワケないじゃない。ねぇ、リィ…………」
 ケラケラ笑いながらリィルの方に視線をやった琉菜は、ギョっと目を見開く。
 リィルが顔を真っ赤にして唇を噛み、モジモジしながら俯いていたのである。
「リィ…ル…………?」
 そんなリィルの様子に、琉菜は思わず真顔でリィルを呼ぶ。
「ね、どうなの、リィル?」
 グイっと顔を寄せ、リィルに訊ねるミヅキ。
「……………………はい」
 リィルは俯いたまま、弱々しい声でそう答えた。
「うそ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!?」
 理解出来ない物を見るような目でリィルを見る琉菜。リィルはますます恥ずかしそうに俯く。
「えぇ? エイジ……だよね? ええっ!?」
「エイジのどこが好きなの?」
 目を白黒させる琉菜を置いてけぼりにして、ミヅキがリィルに問う。
「エイジさんは……私に無い物を沢山持っています。強くて、優しくて……いつだって真っ直ぐで……。
そんな所が少し羨ましくて……その…………」
 懸命に自分の気持ちを言葉にしようとするリィルに、ミヅキは優しく微笑む。
「要は、エイジの全てをひっくるめて好きって事ね?」
「え!? そ、それは、その…………はい」
「ええ〜それは良いように捉えすぎじゃないかなぁ? アイツなんて、ただのバカじゃない」
 とてもリィルの言葉が信じられない琉菜は、自分の気持ちを素直に言葉にする。
「それは……言い過ぎだと思います!」
「あ、ご、ごめん……」
 いつものリィルからは想像出来ない強い語気で反論され、琉菜は思わず頭を下げる。
「まあ、恋っていうのはそういう物よ。でもね、琉菜。エイジって意外にモテるのよ?」
「ええ〜、信じられな〜い」
「だったら、そうね……チュイルかブリギッタ辺りに話してごらんなさい。面白い答えが返ってくると思うわ」
 ミヅキはそう言ってクスクス笑った。
「ちなみに……私もエイジの事好きよ」
「「ええっ!?」」
 思わぬミヅキの言葉に、琉菜とリィルが同時に声を出す。
「フフ、安心しなさいな。今の所、恋愛対象ではないわ。弟みたいな感じかしら? でも、あと2,3年して、
もう少し落ち着きが出てきたら判らないかもね〜。イイ男になる素養は充分にあるからね、エイジ」
 からかうように二人を見るミヅキ。琉菜とリィルは何だか難しい顔をして、そんなミヅキを見返す。
「ちょ、ちょっとアタシ、チュイルの所に行って来る!」
 琉菜はそう言って立ち上がり、足早にテラスを後にした。
(フフ、少しは危機感が煽られたのかしら?)
 全てを見通したような眼差しで、ミヅキはそんな琉菜を見送った。



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