Flapper Girl!
Flapper Girl!
2
エイジ達が格納庫を出ようとした頃、ミヅキと琉菜はテラスで紅茶を飲んでいたリィルに合流していた。
しばらくは二人もお茶を飲みながら、女同士和気あいあいと話に華を咲かせていた。
やがて頃合を見計らったようにミヅキが口を開く。
「あのさ、リィル……単刀直入に聞くけど、アナタもしかして、エイジの事好き?」
ミヅキの言葉に、リィル本人ではなく、隣に座っていた琉菜が思わず紅茶を吹き出した。
「ちょ、ちょっと、ミヅキったら何言ってるのよ! そんな事あるワケないじゃない。ねぇ、リィ…………」
ケラケラ笑いながらリィルの方に視線をやった琉菜は、ギョっと目を見開く。
リィルが顔を真っ赤にして唇を噛み、モジモジしながら俯いていたのである。
「リィ…ル…………?」
そんなリィルの様子に、琉菜は思わず真顔でリィルを呼ぶ。
「ね、どうなの、リィル?」
グイっと顔を寄せ、リィルに訊ねるミヅキ。
「……………………はい」
リィルは俯いたまま、弱々しい声でそう答えた。
「うそ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!?」
理解出来ない物を見るような目でリィルを見る琉菜。リィルはますます恥ずかしそうに俯く。
「えぇ? エイジ……だよね? ええっ!?」
「エイジのどこが好きなの?」
目を白黒させる琉菜を置いてけぼりにして、ミヅキがリィルに問う。
「エイジさんは……私に無い物を沢山持っています。強くて、優しくて……いつだって真っ直ぐで……。
そんな所が少し羨ましくて……その…………」
懸命に自分の気持ちを言葉にしようとするリィルに、ミヅキは優しく微笑む。
「要は、エイジの全てをひっくるめて好きって事ね?」
「え!? そ、それは、その…………はい」
「ええ〜それは良いように捉えすぎじゃないかなぁ? アイツなんて、ただのバカじゃない」
とてもリィルの言葉が信じられない琉菜は、自分の気持ちを素直に言葉にする。
「それは……言い過ぎだと思います!」
「あ、ご、ごめん……」
いつものリィルからは想像出来ない強い語気で反論され、琉菜は思わず頭を下げる。
「まあ、恋っていうのはそういう物よ。でもね、琉菜。エイジって意外にモテるのよ?」
「ええ〜、信じられな〜い」
「だったら、そうね……チュイルかブリギッタ辺りに話してごらんなさい。面白い答えが返ってくると思うわ」
ミヅキはそう言ってクスクス笑った。
「ちなみに……私もエイジの事好きよ」
「「ええっ!?」」
思わぬミヅキの言葉に、琉菜とリィルが同時に声を出す。
「フフ、安心しなさいな。今の所、恋愛対象ではないわ。弟みたいな感じかしら? でも、あと2,3年して、
もう少し落ち着きが出てきたら判らないかもね〜。イイ男になる素養は充分にあるからね、エイジ」
からかうように二人を見るミヅキ。琉菜とリィルは何だか難しい顔をして、そんなミヅキを見返す。
「ちょ、ちょっとアタシ、チュイルの所に行って来る!」
琉菜はそう言って立ち上がり、足早にテラスを後にした。
(フフ、少しは危機感が煽られたのかしら?)
全てを見通したような眼差しで、ミヅキはそんな琉菜を見送った。
←BACK
NEXT→